以前チンドン屋さんの取材で楽士として登場してもらったこの人に、
今回は八木節で共演してもらいました。
彼との付き合いは学生時代からあるのですが、ホント上手くなりましたよね~。
そしてこの前田さんなんと八木節の本場足利の出身なんですね~☆
いや~本場の方にわざわざお越し頂いて贅沢の限りです。
演奏の方ですがもうこれは観てもらった方が早いでしょう。
歌は二人とも素人ですが、それなりにまじめに歌おうとする僕と、
本場の余裕からかかなりアレンジして歌う前田さんの対比が面白いかと思います。
ただ参考にした音源は「ふるさとの民謡 第5集 [関東編]」であるため、
歌詞は桐生で歌われている内容(国定忠治)になっています。
中々足利の音源ってないんですよね。。
情報あればお願いします。
最後はスタジオの時間が来てしまってスタッフの方が入ってこられましたが、
一番乗っていたので最後までやらせてもらいました。
ビックリされたでしょうね、ほんと失礼しました。
※一応スタッフの方に動画アップの許可は頂きました(笑)
演奏の後、前田さんを僕の部屋に招き二人で撮った動画を見ていたのですが、
この異様な雰囲気での二人の会話が結構面白かったので練習風景もアップしておきます。
なんだか変な話ですが、
音楽ってこんなに楽しかったのか。。
という気持ちを久しぶりに味わいました。
ただひょっとすると八木節の保存会の方の中にはこれを見て、
「八木節を侮辱してんのか!」
と、怒りをあらわにされる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、僕らは本当に八木節を好きなんだということだけは理解して頂きたいと思います。
まだまだ勉強不足ですが、日本の民謡の中でも八木節は僕らの世代にとって
一番馴染みやすいタイプの音楽だと思っています。
シンプルな構成、一定のリズムのループ、アドリブの要素、これらを全て備えている民謡はありそうで中々ないです。
現代のダンスミュージックに欠かせない要素を八木節は大正時代に既に持っていたわけです。
ついでにこれは言わせてもらうと、日本の伝統音楽のガイドブック(?)的なものを読むと必ず書いてある保存会なるものがある時点で既にその音楽は終わっている主張。
あれは一部分では当たっているでしょうが、ひとつ見落とされがちな点を指摘しておきます。
それは気合いです。
足利で見た朝倉八木節保存会には確かに気合いがありました。
これはうちが本場なんだという誇りがありました。
そういう側面を無視して音楽をただ音楽として捉えたら何のロマンもありません。
僕はそう思います。
大学のサークルでよくあるジャズ研究会も今やジャズ保存会。
ヴィジュアル系の音楽だって100年後には保存会ができているかもしれません。
保存会という言葉尻だけを捉えてその音楽を判断するのはあまりに短絡的すぎると思います。
気合の度合いによっては時に保存会はロックやパンクを凌駕するのです!
少しは僕の八木節に対する想いが伝わったでしょうか?
つーか朝倉八木節保存会、マジかっこよかったっすからねぇ。
さて、このコンビ。
これで終わるのも寂しいので、今後路上等で演奏したいなと思っています。
日本の芸能の原点は大道芸ですからね。
まぁ基本的に八木節しかやらないですけど。。
前田さんブログ(ゆうたろう日記)
https://yutarosax.cocolog-nifty.com/blog/
「陰翳礼讃」という谷崎潤一郎の随筆があります。
テキストがネットで公開されていたので前回練習したメンバーには印刷して渡したのですが、
その中にこういう一節があります。
少し長いですがご覧ください。
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私はかつて「文藝春秋」に万年筆と毛筆との比較を書いたが、
仮りに万年筆と云うものを昔の日本人か支那人が考案したとしたならば、
必ず穂先をペンにしないで毛筆にしたであろう。
そしてインキもあゝいう青い色でなく、墨汁に近い液体にして、
それが軸から毛の方へ滲み出るように工夫したであろう。
さすれば、紙も西洋紙のようなものでは不便であるから、大量生産で製造するとしても、
和紙に似た紙質のもの、改良半紙のようなものが最も要求されたであろう。
紙や墨汁や毛筆がそう云う風に発達していたら、ペンやインキが今日の如き流行を見ることばなかったであろうし、
従ってまたローマ字論などが幅を利かすことも出来まいし、漢字や仮名文字に対する一般の愛着も強かったであろう。
いや、そればかりでない、我等の思想や文学さえも、或はこうまで西洋を模倣せず、
もっと独創的な新天地へ突き進んでいたかも知れない。
かく考えて来ると、些細な文房具ではあるが、その影響の及ぶところは無辺際に大きいのである。
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この随筆は彼女が教えてくれて最近知ったものですが、
これを知る1年以上前に僕自身がブログに書いたのがこれです。
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僕が譜面を起こす理由は例えばこういうことです。
今まで締太鼓を叩いていた日本人が西洋の新しい楽器を初めて手にした時のことを考えてみて下さい。
すぐにアメリカ人の真似をしてジャズを演奏するか、今まで叩いてきたリズムを試してみるか。
どうです?後者の方が独自の新しいものに発展する可能性があると思いませんか?
そういうチャンスが一度はあったわけです。
戦後日本は前者の道を選びますが、僕はロマンチストですから後者の道を歩んだ日本の音楽が聴いてみたい。
どういう発展をしていくのか考えただけでもワクワクします。
そのために参考になるような譜面の紹介という意図で載せました。
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口で言ってるだけじゃ誰も見向きもしないから、
サックスの前田さんを誘って実際にやってみたんです。
それが思いのほか良かったと。 (2010年1月21日)
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